まるで動く森?テヅルモヅルのフシギな長い腕のヒミツ
まるで動く森?テヅルモヅルのフシギな長い腕のヒミツ
深海の海底で、まるで森のように見えるフシギな生きものがいます。それが「テヅルモヅル」という、ウミグモやヒトデに近い仲間です。名前の通り、手(テ)でつるをたぐり寄せるように見える、とても長い腕を持っています。この腕は、さらに細かく枝分かれしていて、夜になるとまるで大きな網や、あるいは生きている森のように広がります。
なぜ、テヅルモヅルはこんなにもフシギな長い腕を持っているのでしょうか?それは、彼らが生きる深海の環境に適応した結果なのです。
深海での生き残り戦略:長い腕は「獲物を捕らえる網」
テヅルモヅルは、水深数百メートルから数千メートルの深い海に棲んでいます。深海は、光がほとんど届かず、餌も少ない過酷な環境です。そんな場所で生きていくために、テヅルモヅルはあの長い腕を特別な道具として使っています。
夜になると、テヅルモヅルは海底のサンゴや岩などにしがみつき、フシギなほど長く枝分かれした腕を水中に大きく広げます。この腕は、まるで生きている「網」のような役割を果たします。水中を漂っている小さなプランクトンや、死んだ生物のカス(マリンスノーと呼ばれることもあります)などが、この網に触れると、腕にある小さなトゲや粘液に絡め取られてしまいます。
つまり、テヅルモヅルの長い腕は、暗く餌が少ない深海で、少しでも効率よく食べ物を集めるための、まさに体のつくりを工夫した適応なのです。腕を長く、そして細かく枝分かれさせることで、より広い範囲から、そして小さな餌でも逃さずに捕まえることができるようになっています。
腕を丸めてお食事タイム!
腕に餌がかかると、テヅルモヅルはその腕をゆっくりと丸めて、真ん中にある口へと運びます。まるで、自分で仕掛けた網にかかった獲物を手繰り寄せているかのようです。昼間は腕を丸めてじっとしていることが多いですが、夜になると活動的になり、あの長い腕を広げて食事を始めます。
長い腕が教えてくれること
テヅルモヅルの長い腕は、私たちが普段見慣れている生物とは全く違う形をしています。しかし、そのフシギな形には、暗くて餌が少ない深海という環境で生き抜くための、素晴らしい適応のヒミツが隠されているのです。
もし、あなたがテヅルモヅルだったら? * 暗闇でどうやって食べ物を見つけますか?(テヅルモヅルは「網」で触って見つけますね!) * どうやって広い範囲から食べ物を集めますか?(テヅルモヅルは腕を長く広げますね!)
体の形が、その生きものがどんな場所で、どのように生きているかを教えてくれる良い例ですね。身近なところにも、体の形と機能の関係を観察できるものがあるかもしれません。例えば、クモの巣の形や、植物の葉っぱの形なども、生きるための工夫が詰まっていますね。
テヅルモヅルの「動く森」のようなフシギな腕は、深海の環境への適応が生み出した、驚くべき体のつくりなのです。深海には、私たちの想像を超えるような、体のつくりを工夫して生きている生物がたくさんいることを教えてくれますね。