光や匂いで見つける!深海生物の仲間探しのヒミツ
深海で仲間を見つけるって、どうするの?
地球の海の大部分を占める深海は、太陽の光がほとんど届かない真っ暗な世界です。水圧は高く、食べ物も少ない、生きものにとってはとても厳しい環境です。そんな場所で暮らす深海生物たちは、どのようにして大切な「仲間」を見つけているのでしょうか?特に、子孫を残すための相手と出会うのは、とても難しい課題です。
地上では、私たちは目で相手の姿を見たり、声で呼びかけたり、匂いを感じたりして仲間とコミュニケーションをとります。でも、真っ暗な深海では、目がほとんど見えない生きものも多くいます。声も、陸上のように空気中ではうまく伝わりません。
では、深海生物たちはどうやってお互いの存在を知り、出会っているのでしょう?そこには、彼らが長い時間をかけて深海の環境に適応する中で身につけた、驚くべきコミュニケーションのヒミツが隠されています。
暗闇を照らす「光」のメッセージ
深海生物といえば、「光る生きもの」を思い浮かべる方も多いかもしれません。体の一部が光る深海魚や、全身が幻想的な光を放つイカやクラゲなどがいますね。この「光」は、敵から身を守るための目くらましや、獲物を誘い込むためのルアーとして使われることが多いです。
しかし、種類によっては、この光を「仲間へのメッセージ」として利用している場合もあります。特定の光り方をすることで、同じ種類の仲間だけが見分けられる「合図」を送っているのです。
光るパターンがカギ!
例えば、ある種類のイカやエビは、それぞれの種に固有の決まったパターンやリズムで光ると言われています。まるでモールス信号のように点滅したり、体の特定の部分だけを光らせたり。オスとメスで光り方が違う種もいるかもしれません。このように、光の出し方を変えることで、広くて暗い深海の中から、自分と同じ種で、しかも繁殖相手になる可能性がある相手を見つけていると考えられています。
まるで、それぞれが秘密の「光る言葉」を持っているみたいですね。この光のパターンを正確に見分けるためには、見つける側の目も、その光を捉えやすいように特殊な進化を遂げているはずです。
遠くまで届く?「匂い」のサイン
光の届かない深海で、もう一つ重要なコミュニケーションの手段と考えられているのが「匂い」です。正確には、生きものが体から出す「化学物質(フェロモンなど)」のサインです。水中に溶け出したこれらの物質は、潮の流れに乗って広がり、遠くにいる仲間に届く可能性があります。
探し出すための「化学物質」
特に、オスとメスが出会うのが難しい深海では、メスがオスを誘い出すためのフェロモンを放出する例があると考えられています。小型のオスが大型のメスに寄生することで知られるチョウチンアンコウの仲間なども、オスがメスの出すフェロモンを頼りに、真っ暗な深海を泳ぎ回ってメスを探しているのかもしれません。
匂いのサインは、光のようにすぐに消えるわけではなく、ある程度水中に留まることができます。また、岩陰や海底の起伏があっても、潮に乗って回り込むことができる可能性があります。このため、視覚が効かない環境で相手を探すのに適した方法と言えるでしょう。
匂いをキャッチするため、深海生物の中には、匂いを感じるための器官(鼻や触角)がとても発達している種類もいます。
まだまだ謎だらけの深海コミュニケーション
光や匂いの他にも、深海生物は音や振動、側線(水の動きを感じる器官)など、様々な感覚器を使って周囲の状況を把握し、仲間を探していると考えられています。
しかし、深海の生物たちの暮らしについては、まだ分かっていないことがたくさんあります。私たちが想像もつかないような、別の方法でコミュニケーションをとっている生きものもいるかもしれません。
これらのフシギなコミュニケーションの仕組みは、深海という極限環境で子孫を残すために、彼らが長い年月をかけて獲得してきた大切な「適応」なのです。彼らの clever(賢い)な生き残るための工夫を知ると、深海生物がますます面白く感じられますね。
自由研究のヒント?
- 光: いろいろな色のLEDライトを用意して、それぞれの光が水中でどう見えるか調べてみたらどうでしょう?色によって光の進み方が違うことが分かります。また、点滅のパターンで「あいこ」「じゃんけん」などの簡単なメッセージを送るゲームを考えてみるのも面白いですね。
- 匂い: コップに水を入れて、色のついた液体(絵の具やインク)をそっと垂らしてみましょう。液体がどう広がるか観察すると、水の中で物質が動くイメージがつかめます。
深海の生きものたちが、どんな光や匂いで会話しているのか、想像するのも楽しいですね!