砂や泥に隠れる!深海生物の身を隠す驚きのヒミツ
暗闇の深海でどうやって生き残る?
地球の海の大部分を占める深海は、光がほとんど届かない真っ暗な世界です。水圧はものすごく高く、食べ物もあまりありません。そんな過酷な環境で、深海生物たちはどのようにして身を守り、お腹を空かせたおすといるのでしょうか。
深海生物が生き残るための方法はさまざまですが、今回は海底の砂や泥の中に隠れるという、まるで「かくれんぼ」のような賢い戦略についてご紹介します。
なぜ隠れる?深海のかくれんぼ戦略
深海の世界でも、大きな生物が小さな生物を食べます。また、獲物を見つけるのも簡単ではありません。そのため、深海生物にとって「隠れる」ということは、主に二つの大きな目的があります。
一つは、敵に見つからないように身を守ることです。真っ暗な深海では、わずかな光や気配でさえ目立ってしまいます。砂や泥の中に潜り込めば、自分の姿を完全に消すことができ、捕食者から逃れる可能性が高まります。
もう一つは、獲物が近くに来るのをじっと待つことです。海底の砂や泥に隠れて、周りの気配をうかがいながら、 unsuspecting な獲物が通りかかるのを待ち伏せします。これなら、自分で探し回るエネルギーを使わずに食事にありつけるチャンスが増えます。
砂や泥に隠れるための体のつくりや工夫
砂や泥に隠れる深海生物たちは、そのために特別な体のつくりや行動の工夫を持っています。
例えば、ゴンベエダコというタコは、体全体を器用に海底の砂の中に潜り込ませて隠れることができます。ふだんは丸い体をしているのですが、砂に潜るときは体を平たく変形させ、巧みに砂をかぶって見えなくなります。
また、深海の海底に暮らす魚の中には、カレイの仲間のように体が平たくなっていて、砂の上にとまっていると見分けがつきにくいものがいます。さらに、体の色や模様を海底の砂や泥に似せる「擬態(ぎたい)」という能力を持つものもいます。体の色を変えたり、複雑な模様を持つことで、周りの環境と区別がつかなくなり、まるで風景の一部になったように見えます。
砂や泥の中に完全に潜ってしまう生物もいれば、体の一部だけを砂から出して、目だけをきょろきょろさせて周りを見張っている生物もいます。これは、敵が近づいていないか確認したり、獲物が通りかかった瞬間に飛び出す準備をしたりするためです。
身近な「隠れる」生き物と比べてみよう
深海生物の「かくれんぼ」は、地上や浅い海に暮らす生き物にも見られる戦略です。
例えば、庭や公園の砂場にいる虫や、落ち葉の下に隠れているダンゴムシ、木の幹の色にそっくりな虫なども、敵から身を守るために隠れています。川底の石の色に似た魚や、砂浜に潜るカニなどもいますね。
深海生物が砂や泥に隠れる様子は、身近な生き物が隠れる様子と目的は似ていますが、深海の特殊な環境(暗闇、高水圧、低温)で生きるための、より特殊な体のつくりや能力が必要になる点がすごいところです。
深海の底の賢い生活
深海の底に広がる砂や泥の世界は、一見何もいない静かな場所のように見えます。しかし、そこには驚くほど多くの生物たちが暮らしており、それぞれが生き残るためにさまざまな工夫をしています。
砂や泥の中に隠れるという戦略も、そんな深海生物たちの賢い適応の一つです。姿を隠すことで危険を避け、効率よく食料を得る。シンプルながらも、深海という厳しい環境で生き抜くための、まさに「適応進化」の素晴らしい例と言えるでしょう。
深海の底で静かに、しかし確実に命をつないでいる生物たちの、隠された暮らしに想像力を膨らませてみるのも面白いかもしれませんね。