なぜ深海で墨を吐くの?深海イカ・タコの驚きの防御術
真っ暗な深海で墨は効くの?
イカやタコといえば、敵に襲われたときに「墨(すみ)」を吐いて逃げる姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。水中に真っ黒な煙幕を張って、その隙にサッと姿をくらませる、 clever な戦略です。
では、光がほとんど届かない真っ暗な深海に住むイカやタコも、同じように墨を吐くのでしょうか?そして、もし吐くとしたら、どんな効果があるのでしょうか?
実は、深海に住むイカやタコの中にも、墨を吐く種類がたくさんいます。でも、地上近くの海に住む仲間とは、墨の使い方がちょっと違うことがあるのです。深海の過酷な環境で生き残るために、彼らは墨を「適応」させてきました。今回は、深海イカ・タコのフシギな墨の防御術に迫ってみましょう。
光が届かない深海での墨の役割
地上近くの明るい海では、イカやタコの墨は主に「目くらまし」の役割を果たします。敵の視界を遮り、敵が混乱している間に逃げるのです。しかし、深海は光がほとんどありません。そんな場所で黒い墨を吐いても、敵の目をくらます効果は期待できないように思えます。
では、なぜ深海のイカやタコは墨を吐くのでしょうか?その理由は、主に二つの働きがあると考えられています。
1. ニセモノの自分を作り出す!
深海で墨を吐くイカやタコの中には、地上近くの仲間のように墨を広げるのではなく、粘り気のある墨を塊(かたまり)にして吐き出す種類がいます。この墨の塊は、イカやタコの形や大きさに似ていることがあり、敵は一瞬、それが本物だと思ってしまいます。
敵がニセモノの墨の塊に気を取られている間に、イカやタコは素早くその場から離れて逃げるのです。これは、まるで自分自身の「分身」を作り出して敵を欺くような、とても clever な作戦ですね。
2. 光で敵を驚かす!
さらに驚くべきことに、光る墨を吐く深海イカやタコも確認されています。これは、墨の中に発光性の物質や、発光バクテリアと共生していることが関係していると考えられています。
真っ暗闇の中で突然、ピカッと光る墨の塊が現れたら、敵はきっとびっくりして戸惑うはずです。その一瞬の隙をついて、イカやタコは逃げ出すのです。光が少ない深海だからこそ、この「光る墨」は強力な防御手段となるのです。
このように、深海のイカやタコは、光が届かない環境に合わせて、墨の色だけでなく、その「出し方」や「性質」を変化させることで、生き残るための特別な防御術を身につけているのです。
墨以外の防御策
もちろん、深海のイカやタコの防御術は墨だけではありません。体色を瞬時に変えたり、周りの環境に溶け込むように擬態したり、特殊な発光器官を使って敵を驚かせたりと、様々な工夫を凝らしています。
例えば、 بعضの深海タコは、敵に襲われると体を大きく広げて威嚇したり、腕の間の膜を使ってベルのような形になり、ゆっくりと沈んで逃げたりします。
まとめ:深海イカ・タコの墨は適応の証
深海イカ・タコの墨の使い方は、地上近くの海の仲間とは違う、その環境ならではの「適応」の結果です。単なる目くらましではなく、ニセモノの自分を作り出したり、光を使って敵を驚かせたりと、想像力あふれる(?)驚きの防御術を持っています。
もしあなたが深海のイカやタコだったら、暗闇でどうやって身を守りますか?そんな風に考えてみると、深海生物たちの「生き残るための工夫」が、さらに面白く感じられるのではないでしょうか。
彼らのユニークな体のつくりや能力は、何万年、何十万年という長い時間をかけて、深海という過酷な環境に合わせて進化してきた証なのです。
次にイカやタコを見る機会があったら、地上と深海での墨の使い方の違いに思いを馳せてみるのも面白いかもしれませんね。もしかしたら、墨の色素について調べたり、墨汁を水に垂らして広がり方を観察したりする実験が、深海の環境を考えるヒントになるかもしれませんよ。