粘液で生き残る!深海生物のネバネバな体のヒミツ
ネバネバだけどすごい!深海生物の粘液のフシギ
深海にすむ生きものたちの体は、まるでフワフワのゼリーみたいだったり、逆に硬い骨が少なかったり、見ているだけでフシギがいっぱいです。でも、深海生物の体のヒミツは、それだけではありません。実は、「ネバネバ」も、深海で生き残るためのとっても大切な特徴なんです。
身を守るネバネバのバリア
地上や浅い海にすむ生きものも、体をぬめぬめさせる粘液を出すことがありますが、深海の生きものたちは、この粘液を特別うまく利用しています。
たとえば、「ヌタウナギ」という深海魚は、危険を感じると体の横にある穴から、あっという間に大量のネバネバした粘液を出すことができます。この粘液は海水と混ざるとさらに膨らんで、まるで大きなゼリーの塊のようになります。捕食者がヌタウナギに襲いかかろうとしても、このネバネバに絡め取られてしまい、うまく噛みつけなかったり、エラが詰まってしまったりします。その隙にヌタウナギは逃げ出すことができるのです。
(ここにヌタウナギが粘液を出している様子の写真またはイラストが入ると良いでしょう)
このネバネバは、敵から身を守るだけでなく、体の表面を傷つけやすい海底の泥や砂、あるいは他の生物との摩擦から守るバリアのような役割も果たしていると考えられています。高水圧の中でデリケートな体を守るのに、この粘液はとても役立っているのですね。
餌をとらえるネバネバの網
また、粘液は防御のためだけでなく、餌を捕まえるためにも使われます。
「オタマボヤ」という、プランクトンとして海中を漂う小さな生きものがいます。オタマボヤは、自分の体よりもはるかに大きな、フワフワとした粘液でできた「ハウス」と呼ばれる構造物を作ります。このハウスにはフィルターのような部分があり、オタマボヤはハウスの中で水をろ過して、その中に含まれるごく小さなプランクトンや有機物を集めて食べます。
(ここにオタマボヤがハウスを作っている写真またはイラストが入ると良いでしょう)
深海は餌がとても少ない場所です。そんな環境で、漂ってくるわずかな餌を効率よく集めるために、粘液で作った大きな網のようなハウスは、とても優れた仕組みなのです。ハウスが餌でいっぱいになったり、壊れたりしたら、オタマボヤは古いハウスを捨てて、また新しいハウスを作り直します。
適応進化が生んだネバネバパワー
深海の生きものたちが持つネバネバな体や粘液は、暗くて冷たく、水圧が高いという厳しい環境で生き残るために、長い時間をかけて進化してきた「適応」の一つです。敵から身を守ったり、少ない餌を確実に捕まえたり、デリケートな体を保護したり。粘液一つにも、深海で生きるための工夫がたくさん詰まっているのです。
このように、深海生物の体の形や機能は、彼らが生きる環境と密接に関わっています。一見すると不思議に見える体のつくりも、実は「なぜその体だと生き残れるのか?」という視点で見ると、とても理にかなった素晴らしい仕組みであることが分かります。
(もしお子さんと一緒に自由研究をするなら) 粘液の性質について考えてみるのも面白いかもしれませんね。例えば、身近なもので粘り気のあるもの(片栗粉やゼラチン、あるいは市販のスライムなど)を使って、水の流れに対する粘り気の効果や、何かを絡め取る性質などを観察してみるのも、深海生物の粘液の役割を想像するヒントになるかもしれません。
深海生物のネバネバな体のヒミツを知ることで、深海という未知の世界への興味が、もっと深まったら嬉しいです。